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医学:ヒト乳がんの包括的な分子ポートレート

Nature 490, 7418 doi: 10.1038/nature11412

本研究では、原発性乳がんについて、ゲノムDNAのコピー数アレイ、DNAメチル化、エキソーム塩基配列解読、メッセンジャーRNAアレイ、マイクロRNA塩基配列解読および逆相タンパク質アレイによる解析を行った。複数のプラットフォーム全体にわたる情報を統合できたことにより、これまでに定義された遺伝子発現サブタイプを理解する重要な手がかりが得られ、また、それぞれが顕著な分子的不均一性を示す5つのプラットフォームのデータを組み合わせて、これらの乳がんには主要な4つの種類が存在することを証明した。全乳がんの10%以上で、わずか3個の遺伝子(TP53PIK3CAおよびGATA3)にしか体細胞変異が起こっていなかった。しかし、ルミナルAサブタイプでGATA3PIK3CAおよびMAP3K1に特異的変異が豊富に見られるなど、サブタイプに関連した変異や新規の遺伝子変異が多数あった。我々は、おそらく間質/微小環境の要素により産生される、タンパク質発現によって定義される2つの新しいサブグループを明らかにし、また、統合解析から、HER2高発現サブタイプ内でのHER2/リン酸化HER2/EGFR/リン酸化EGFRの特徴など、各分子サブタイプで優占的な特異的シグナル伝達経路を同定した。基底様乳がんと高悪性度漿液性卵巣がんを比較すると、多くの分子的共通点が見られたことから、関連する原因があって同じような治療を使える可能性が示唆される。遺伝学的異常およびエピジェネティックな異常の異なるサブセットによって引き起こされる、乳がんの主要な4つのサブタイプについての生物学的知見から、臨床的に観察可能な可塑性や不均一性の大部分は、これらの乳がんの主要な生物学的サブタイプ間に共通ではなく、サブタイプ内で起こっているという仮説が導かれる。

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