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細胞:ポリアミン–ハイプシン軸に依存する腫瘍抑制因子ネットワーク

Nature 487, 7406 doi: 10.1038/nature11126

腫瘍抑制因子遺伝子は幅広い種類の分子をコードしており、そうした分子の変異による減弱が悪性化に寄与する。標準的な状況では、腫瘍抑制因子は、一方の対立遺伝子の1つの点変異ともう一方の対立遺伝子の染色体欠失による2ヒット過程を介して完全に不活化される。本論文では、リンパ腫における腫瘍抑制因子遺伝子を同定するために、ヒトリンパ腫で欠失している遺伝子を標的とする短鎖ヘアピンRNAライブラリーのスクリーニングを行った。マウスリンパ腫モデルで、抑制されると腫瘍形成が促進される、そうした遺伝子を機能的に同定した。我々が同定した9個の腫瘍抑制因子遺伝子のうち、8個は物理的な関連がある3つの「クラスター」に見られる遺伝子に一致することから、ヒト腫瘍でよく見られる大規模な染色体欠失の発生は、多数の遺伝子を減弱する選択圧を反映することが示唆される。新しい腫瘍抑制因子の中には、AMD1(adenosylmethionine decarboxylase 1)およびeIF5A(eukaryotic translation initiation factor 5A)があり、この2つの遺伝子はハイプシン(高度に保存された経路を介するポリアミン代謝の産物として産生される独特なアミノ酸)に関連がある。全ポリアミン酵素の腫瘍形成に与える影響を調べる二次スクリーニングにより、ポリアミン–ハイプシン軸がアポトーシスを調節する新しい腫瘍抑制因子ネットワークであることが明らかになった。意外にも、AMD1およびeIF5Aを含むヘテロ接合性欠失は、ヒトリンパ腫で同時に生じることが多く、マウスではこの両方の遺伝子を同時に抑制するとリンパ腫形成が促進される。したがって、いくつかの腫瘍抑制因子の機能は、同じ経路で作用する異なる遺伝子を標的とする2段階の過程を介して無効化されうる。

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