Letter

免疫:薬剤によって修飾を受けたHLA-ペプチドレパートリーによって誘導される免疫自己反応性

Nature 486, 7404 doi: 10.1038/nature11147

ヒト白血球抗原(HLA)は、病原体由来のペプチドをT細胞に提示することによって免疫を開始させる、非常に多型性の高いタンパク質である。HLA多型のほとんどは抗原が結合する溝に位置しており、そのために、異なるHLAアロタイプにより選択される自己由来および病原体由来ペプチド抗原のレパートリーが多様化する。アバカビル過敏症(AHS)やカルバマゼピンで誘導されるスティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)などの免疫学的な基盤を持つ薬物反応の数は増加しつつあり、これらは特定のHLA対立遺伝子と関連付けられている。しかしながら、こうした関連を生じる原因機序については、AHSを含め、ほとんどわかっていない。AHSは、一般的な組織適合対立遺伝子であるHLA-B*57:01を持つ場合にのみ起こり、相対危険度が1,000以上の典型的なHLA関連薬物反応である。我々は、修飾されていないアバカビルがHLA-B*57:01に非共有結合し、抗原が結合する溝の底に横たわるように位置して、C末端のトリプトファンがHLA-B*57:01に結合したペプチドを通常繋留する部位であるFポケットにまで伸びていることを示す。アバカビルはHLA-B*57:01に非常に高い特異性で結合し、抗原が結合する溝の形と化学的性質を変化させ、これによりHLA-B*57:01に結合できる内在性ペプチドのレパートリーが変化する。アバカビルはこのようにして、新たな内在性ペプチドのセレクションを誘導し、「免疫学的自己」に著しい変化を引き起こす。この結果生じた、ペプチドが中心の「変化した自己」は、アバカビル特異的T細胞を活性化し、それによってポリクローナルなCD8 T細胞の活性化が進められ、AHSのような全身性反応が現れる。我々はまた、広く使用されている抗てんかん薬でHLA-B*15:02を持つ患者に過敏性反応を起こすとされるカルバマゼピンが、このアロタイプに結合し、提示される自己ペプチドのレパートリーを変化させることを示す。我々の知見は、薬理ゲノミクスの進展におけるHLA多型の重要性を強調するとともに、増加中の、低分子薬剤がかかわるHLA関連過敏症の一部に対する一般的な機序を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度