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遺伝:ゴリラのゲノム塩基配列から得られたヒト科進化の手がかり

Nature 483, 7388 doi: 10.1038/nature10842

ゴリラは、チンパンジーに次いでヒトに最も近縁な現生種であり、ヒトの起源や進化の研究にチンパンジーと同じくらい重要である。今回我々は、ニシローランドゴリラのゲノム塩基配列のアセンブリーおよび解析の結果を示し、現存するすべての大型類人猿属の全ゲノムと比較した。遺伝学的証拠と化石証拠が、ヒト—チンパンジーの種分化をおよそ600万年前、ヒト—チンパンジー—ゴリラの種分化をおよそ1,000万年前とする設定で一致することから、我々はこの2通りの証拠を統合することを提案する。ゴリラゲノムの30%では、ヒトとチンパンジーの近縁度よりも、ゴリラとヒトあるいはゴリラとチンパンジーの近縁度のほうが高い。この傾向はコード遺伝子の周辺ではかなり小さいことから、大型類人猿の進化全体を通して広範な選択が起こったことがうかがわれ、また、この傾向は遺伝子発現に機能的な影響を与えている。タンパク質コード遺伝子の比較から、ゴリラ、ヒトおよびチンパンジーの各系統で加速進化を示す約500個の遺伝子が見つかり、平行加速進化の証拠(特に聴覚に関与する遺伝子について)が明らかになった。また、我々はニシローランドおよびヒガシローランドのゴリラ種の比較も行い、平均の塩基配列分岐年代を175万年前と推定したが、ヒガシローランドゴリラ種ではより最近の遺伝子交換や集団ボトルネック効果の証拠が見られた。ゲノム塩基配列を利用したこれらの解析や今後の解析によって、大型類人猿の生物学的特性や進化のさらに詳しい解明が進むだろう。

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