Letter

計測:レーザー誘起電子線回折による超高速分子ダイナミクスの画像化

Nature 483, 7388 doi: 10.1038/nature10820

分子や固体の構造決定は、物理学、化学、生物学においていつも重要な役割を担ってきた。最も広く使われている構造決定法としてはX線回折と電子線回折が挙げられ、これらはオングストローム以下の空間分解能で原子の位置を決定するために日常的に使われている。現在、この2つの方法で調べられるのは1ピコ秒以上の時間スケールのダイナミクスに限定されるが、フェムト秒のX線パルス源や電子ビーム源が最近開発されたことで、構造変化を起こしつつある生体分子や凝縮相系の超高速スナップショットを撮ることが近々可能になると予想される。また、この10年間に、別の画像化法も出現しており、この方法は親分子構造を自己解析するコヒーレント電子波束のレーザーイオン化放出を用いている。今回我々は、この現象を実際にレーザー誘起電子線回折(LIED)に使用して、オングストローム以下の精度と数フェムト秒の照射時間で分子構造を画像化できることを示す。この方法を酸素分子と窒素分子に適用している。これらの分子は、3種の中赤外波長(1.7、2.0、2.3 μm)で強レーザー場によるイオン化を行うと、運動量分布を持つ光電子を放出し、この運動量分布から回折パターンが抽出される。長い波長は原子スケールの空間分解能を実現するために不可欠であり、波長の違いは異なる時間でのスナップショット撮影に相当する。この方法が、約5 fsの時間間隔で起こる酸素結合長の0.1 Åの変位を測定する感度を持つことがわかった。この結果は、LIEDが気相分子をこれまでにない空間的時間的分解能で画像化するための有望な方法であることを立証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度