Article

医学:網膜芽細胞腫のゲノム解析およびエピジェネティクス解析から導かれる新規治療法

Nature 481, 7381 doi: 10.1038/nature10733

網膜芽細胞腫は発生期の網膜に生じる悪性の小児がんであり、RB1遺伝子の対立遺伝子が両方とも欠損することに起因する。腫瘍はRB1の不活性化後に急速に進行するが、その基盤となる機序はわかっていない。今回我々は、網膜芽細胞腫のゲノムは安定しているが、複数の発がん経路がエピジェネティックに脱調節されている可能性があることを示す。さらに、RB1の欠損と協調する変異を特定するため、網膜芽細胞腫の全ゲノム塩基配列解読を行った。全体の突然変異率は非常に低く、既知のがん遺伝子で変異していたのはRB1のみだった。また、RB1がゲノム安定性に果たす役割を評価し、発がん経路の脱調節の非遺伝的な機序について考察した。例えば、がん原遺伝子SYKは網膜芽細胞腫で発現が増加しており、腫瘍細胞の生存に必要である。in vitroおよびin vivoでSYKを標的とする低分子阻害剤によって、網膜芽細胞腫の腫瘍細胞死が誘導された。したがって網膜芽細胞腫は、RB1欠損による直接的または間接的な結果として、重要な発がん経路がエピジェネティックに脱調節された結果、急速に発生すると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度