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構造生物学:広範に作用する中和抗体PG9と結合したHIV-1 gp120のV1/V2ドメインの構造

Nature 480, 7377 doi: 10.1038/nature10696

ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)のgp120エンベロープ糖タンパク質の可変領域1および2(V1/V2)は、抗体による中和をウイルスが回避するのに重要であり、V1/V2自身は配列の多様性やN結合型糖鎖付加により保護されている。だが、PG9などのヒト抗体はV1/V2と結合し、HIV-1分離株の80%を中和する。今回我々はPG9と複合体を形成したV1/V2の構造を報告する。V1/V2は、4本のストランドからなるβシートドメインを形成し、配列の多様性や糖鎖付加は、ストランドをつなぐループへおおむね隔離されている。PG9の認識には、静電的相互作用、配列非依存性の相互作用とグリカンとの相互作用がかかわっている。グリカンとの相互作用によって、相互作用表面の半分以上は説明されるが、親和性は十分低く、自己反応は回避される。V1/V2によって誘導された抗体CH04やPGT145の構造は、伸びた陰イオン性ループのグリカンへの侵入という共通の様式を示唆している。したがって今回の結果は、V1/V2の構造の決定に加えて、高度に糖鎖付加された抗原を抗体が認識する際の枠組みを明らかにしており、PG9ではこれにわずか2つのグリカンと1本のストランドからなる脆弱性部位がかかわっている。

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