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がん:原発性ヒト前立腺がんに見られるゲノムの複雑性

Nature 470, 7333 doi: 10.1038/nature09744

前立腺がんは、米国における男性のがん死亡原因で2番目に多い。しかし、前立腺がんのゲノムに見られる変化全体の特徴はまだ十分に解析されていない。本論文では、7例の原発性ヒト前立腺がんとそれに対応する正常組織の完全塩基配列を示す。複数の腫瘍で、既知のがん遺伝子の内部あるいはその近傍で均衡型(コピー数の変化を伴わない)の再編成が、複雑に連携して起こっていることがわかった。再編成の際の切断点は、ETS遺伝子融合であるTMPRSS2–ERGが生じている場合には、開放型クロマチン、アンドロゲン受容体、ERG DNA結合部位の近くに集中しているが、ETS融合を欠いている腫瘍では、これらの部位と逆相関が見られる。この観察結果は、クロマチンあるいは転写調節とゲノム異常発生の間につながりがあることを示唆している。3例の腫瘍ではCADM2を破壊する再編成が見られ、4例では前立腺がんのがん抑制因子であるPTENの破壊(不均衡型)、あるいはPTENと相互作用するタンパク質でこれまで前立腺がん発生と関連付けられていなかったMAGI2の破壊(均衡型)が起こっていた。したがって、ゲノム再編成は、転写あるいはクロマチンの異常から起こって、前立腺がん発生の機序にかかわっている可能性がある。

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