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遺伝:集団規模の塩基配列解読から作製されたヒトゲノム多様性の地図

Nature 467, 7319 doi: 10.1038/nature09534

1000ゲノムプロジェクトでは、遺伝子型と表現型との関係を調べるための基盤として、ヒトゲノム配列の多様性の特徴を詳細に明らかにすることを目標にしている。本論文では、ハイスループットな基盤技術を用いた全ゲノム塩基配列解読のための異なる戦略を開発および比較することを目的としたこのプロジェクトの、予備段階の結果を示す。我々は3つのプロジェクトに取り組んだ。つまり、4つの集団の179人についての低カバー率の全ゲノム塩基配列解読、母・父・子3人からなる2組についての高カバー率の塩基配列解読、および、7つの集団の697人についてのエキソンを対象とする塩基配列解読である。その結果得られたおよそ1,500万個の一塩基多型、100万個の短い挿入や欠失、および2万個の構造的異型の、位置、対立遺伝子頻度および局所のハプロタイプ構造をここに記載する。これらのほとんどがこれまで報告されていなかったものである。ありふれた遺伝的変動の大多数をカタログ化したため、現在の技術で検出可能で個人すべてにみられる異型の95 %以上が、このデータセットに存在する。平均すると、各個人につき、注釈付き遺伝子におよそ250〜300個の機能喪失型異型と、これまでに遺伝性疾患への関与が示されている50〜100個の異型が存在することがわかった。また、これらの結果を関連性や機能の研究にどのように生かせるかも示す。親子3人の2組から、生殖細胞系列のde novoの塩基置換変異率は、1世代当たり1塩基対につきおよそ10−8であることが直接算定される。自然選択の痕跡についてこのデータを検討すると、連鎖部位での選択のため、遺伝子の近傍で遺伝的多様性が著しく低下していることが明らかになった。これらの方法と公開データはヒト遺伝学研究の次の段階を支援するものとなるだろう。

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