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細胞:サテライトファージTLCφはCTXファージによるdif部位変化を介した毒素産生転換を可能にする

Nature 467, 7318 doi: 10.1038/nature09469

細菌染色体にはしばしば遺伝エレメント(例えば、プラスミド、トランスポゾン、プロファージやアイランド)が組み込まれているが、その正確な機能や宿主細菌の進化適応度への寄与については解明されていない。コレラ菌(Vibrio cholerae)のコレラ毒素をコードするCTXφプロファージは、TLC(toxin-linked cryptic)とよばれる、染色体に組み込まれた機能がわからないエレメントに隣接して存在することが知られている。本論文では、繊維状サテライトファージ(TLC-Knφ1)のゲノムに相当するTLC関連エレメントの特徴を報告する。TLC-Knφ1は、別の繊維状ファージ(fs2φ)の形態形成遺伝子を使って、感染性のあるTLC-Knφ1ファージ粒子を作り出す。TLC-Knφ1ファージゲノムには、dif組み換え配列と類似した配列が存在し、これが、XerCとXerDリコンビナーゼを使った二量体染色体の解離に働く。また、dif配列は、溶原性繊維状ファージ(例えば、CTXφ)が、自身のゲノムを宿主染色体に組み込む場合にも使われる。二量体染色体の解離に異常がみられる細菌細胞は、異常な繊維状の細胞形態を示すことが多い。我々は、コレラ菌の野生株やdif繊維状表現型をもつ変異株で、TLC-Knφ1ゲノムの獲得と染色体への組み込みが行われると、完全なdif部位と正常な形態が回復することを見いだした。さらに、TLC-Knφ1をもつdif非毒素産生コレラ菌の溶原性によって、その後に毒素産生転換が促進されるが、それは回復したdif部位へのCTXφの組み込みを介していた。これらの結果は、コレラを引き起こす細菌病原体の出現には、複数の繊維状ファージ間に非常に高度な協調的相互作用が関与していることを明らかにしている。

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