Letter

物理:量子井戸における高次電子相関のコヒーレント測定

Nature 466, 7310 doi: 10.1038/nature09286

強い長距離クーロン相互作用によって、複数の荷電粒子の相関運動が生じ、半導体における重要な多体効果が生じることがある。相関した電子–正孔対から形成されるエキシトン状態は詳しく研究されてきたが、多重エキシトン相関の基本特性であるコヒーレンス時間、集団の寿命、結合エネルギー、相関できる粒子の数などは、これらをその基底状態から分光学的に調べられないため、ほとんどわかっていない。本論文では、ガリウムヒ素量子井戸における高次コヒーレンスを直接観察した結果を報告する。これは、最大7個の連続する光場を使う二次元多量子分光法を用いて行われた。この測定は、特定の構造をした多数のビームを形成する再構成可能な空間ビームシェイパーと、すべてのビームの相対光位相とパルス間の時間遅延を制御する時空パルスシェイパーを組み合せることで可能になった。その結果、3番目のエキシトンのスピンが不対であるため存在が明らかではなかったトリエキシトンのコヒーレンス(3個のエキシトンつまり6個の粒子の相関)と、そのコヒーレンス時間と結合エネルギーの値が明らかになった。バイエキシトン、トリエキシトン、束縛されていない2個のエキシトンのコヒーレンスのリフェーシングが実証された。また、3個のエキシトンの有意な束縛されていない相関が存在せず、4個のエキシトン(8個の粒子)の相関は束縛されているものも束縛されていないものも存在しないことも確認された。したがって、この系における多体相関の限界と特性が明らかになった。この測定法によって物質や分子における高次多体相互作用を調べる新しい機会が開かれ、今回の結果は半導体ナノ構造体における電子相互作用の第一原理計算に関する、進行中の研究の指針になると考えられる。

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