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医学:熱帯熱マラリア原虫の化学遺伝学

Nature 465, 7296 doi: 10.1038/nature09099

熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)によるマラリアで、世界中で年間88万人が死亡している。ワクチンの開発は困難であることが明らかになっており、ほとんどの抗マラリア薬には耐性株が出現している。抗マラリア作用のある新規タイプの化合物を発見するため、我々は表現型による順化学遺伝学的手法を用いて、309,474個の化学物質について分析を行った。本論文では、全ライブラリー(その多くが薬剤耐性P. falciparum株に対してin vitroで高い活性を示す)の構造および生物学的活性と、172個の代表的候補物質の詳細なプロファイルを示す。逆化学遺伝学的研究も行い、確認済みの4つの薬剤標的に対する新規阻害物質19個と、61個のマラリアタンパク質中に結合相手のある新たな物質15個を同定した。数種の生物における系統的化学遺伝学によるプロファイリングから、トキソプラズマ原虫Toxoplasma gondiiと哺乳類細胞株との類似性および、熱帯熱マラリア原虫と近縁の原虫との非類似性が明らかになった。標準例とした化合物の1つは、マウスモデルの1つで有効性を示した。我々の結果は、マラリア薬探索のための科学研究に新たな出発点を提供する。

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