Letter

医学:標的型ナノ粒子を用いてヒトに全身投与したsiRNAによるRNAiの証拠

Nature 464, 7291 doi: 10.1038/nature08956

RNA干渉(RNAi)経路を標的とする治療法の開発は、患者に新しい重要な治療法を提供する道となる可能性がある。長い二本鎖RNAがRNAiを仲介することは、最初に線虫(Caenorhabditis elegans)で示され、また、低分子干渉RNA(siRNA、およそ21塩基対の二本鎖RNA)が哺乳類細胞で、インターフェロン応答を引き起こさずにRNAiを誘導できることが明らかになり、ヒトでの治療にRNAiが利用できる可能性が出てきた。我々は現在、標的型ナノ粒子送達系を用いた、固形がん患者へのsiRNAの全身投与についての、ヒトで初めての第I相臨床試験を行っている。本論文では、送達されたsiRNAによってヒトでRNAiの作用機構が誘導されたことの証拠を示す。処置後に得られた黒色腫患者の腫瘍生検から、投与されたナノ粒子の投与量レベルと相関する量のナノ粒子が細胞内に局在することが示された(これは、我々の知るかぎり、あらゆる種類のナノ粒子の中で初めて全身的に送達されたものである)。さらに、組織を投与前と比較した場合に、特異的なメッセンジャーRNA(M2 subunit of ribonucleotide reductase(RRM2))とそのタンパク質(RRM2)の両方のレベルに低下がみられた。特に、最も高用量のナノ粒子投与を受けた患者では、RNAiの機構が生じると予測される部位特異的に、siRNAを介したmRNA切断の証拠となるmRNA断片が検出されたことは、注目に値する。これらのデータを総合すると、siRNAをヒトに全身投与すると、RNAiの作用により特異的な遺伝子の抑制(mRNAおよびタンパク質の減少)が起こりうることが示される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度