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遺伝:変化の激しいヒドラゲノム

Nature 464, 7288 doi: 10.1038/nature08830

淡水性刺胞動物のヒドラ(Hydra)は1702年に初めて報告され、以来300年間にわたって研究されてきた。ヒドラの実験的研究は、動物として初めての出芽による無性生殖が発見された1736年から1744年にかけて最高潮に達し、動物での再生が初めて報告され、動物間での組織移植も成功した。現在ではヒドラは、軸パターン形成、幹細胞生物学や再生の研究の重要なモデル動物となっている。本論文では、チクビヒドラ(Hydra magnipapillata)のゲノム塩基配列を報告し、これを花虫類ネマトステラ(Nematostella vectensis)などのゲノムと比較する。ヒドラゲノムを形作ってきたのは、転移因子の爆発的な増幅、遺伝子の水平伝播、トランススプライシング、生活環の単純化と並行して起こった遺伝子構造と遺伝子構成の単純化である。また、チクビヒドラと安定な関係を保つ新規な細菌1種のゲノム塩基配列も報告する。ヒドラゲノムとほかの動物ゲノムとの比較により、上皮、収縮組織、発生に応じて制御される転写因子、シュペーマン・マンゴールド・オーガナイザー(原腸胚形成体)、多能性にかかわる遺伝子、神経筋接合部の進化を解明する手がかりが得られるだろう。

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