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免疫:脂肪酸代謝の調節によりCD8 T細胞の記憶を増強する

Nature 460, 7251 doi: 10.1038/nature08097

感染やがんに対する免疫に重要な役割をもつCD8 T細胞は、一定の細胞数で維持される。しかし、抗原刺激時には、抗原特異的エフェクター(TE)細胞集団の増殖とそれに続く細胞数減少が起こり、その後に長期にわたって生存する記憶(TM)細胞が維持されるという特徴をもつ分化プログラムが実行される。この予測可能なCD8 T細胞応答パターンは確証されているが、TM細胞への移行調節の基盤となる細胞機構は明らかになっていない。本論文では、腫瘍壊死因子(TNF)受容体や、インターロイキン-1R/Toll様受容体スーパーファミリーのアダプタータンパク質であるTNF受容体関連因子6(TRAF6)が、感染後の脂肪酸代謝修飾によりCD8 TM細胞の分化を調節することを示す。TRAF6をT細胞特異的に欠失したマウスはロバストなCD8 TE細胞応答を開始するが、TM細胞の作出能力は大きく低下しており、それは一次免疫後数週間で抗原特異的な細胞が消失するという特徴をもつことがわかった。マイクロアレイ解析から、TRAF6欠損CD8 T細胞では、脂肪酸代謝を調節する複数の遺伝子の発現が変化していることが明らかになった。これと一致して、TRAF6を欠損する活性化CD8 T細胞は、増殖因子の除去に応答して、AMP活性化プロテインキナーゼ活性化およびミトコンドリア性脂肪酸酸化(FAO)に異常を示した。抗糖尿病薬メトホルミンの投与によって、TRAF6が存在しない場合のFAOおよびCD8 TM細胞産生が回復した。この薬剤処理によって、野生型マウスでもCD8 TM細胞が増加し、その結果、実験的な抗がんワクチンの有効性がかなり改善された。

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