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遺伝:2009年の新型インフルエンザA/H1N1流行の起源と進化ゲノミクス

Nature 459, 7250 doi: 10.1038/nature08182

2009年3月から4月初旬に、ブタ由来の新型インフルエンザA/H1N1ウイルス(S-OIV)がメキシコおよび米国内に出現した。サーベイランスの最初の数週間に、このウイルスはヒト-ヒト感染によって世界30か国(5月11日時点)に伝播し、その結果、世界保健機関が大流行の警戒レベルをフェーズ5(最高は6)へと引き上げる事態がもたらされた。このウイルスは、21世紀最初のインフルエンザパンデミックに発展する可能性がある。今回我々は、進化的解析により、S-OIV流行の発生起源および流行拡大初期の時間スケールについて評価した。S-OIVはブタに感染する数種のウイルスに由来しており、ヒトへの最初の感染は、爆発的流行が確認された数か月前に発生していたことを示す。遺伝学的サーベイランスにおけるこのギャップの系統学的推定から、S-OIVの爆発的流行以前に祖先の試料が採取されなかった長い期間があったことがわかり、ヒトへの感染が起こる前にブタ系統内で数年にわたって遺伝子の再集合が生じていた可能性が示唆され、またS-OIVの複数の遺伝的祖先の存在は、人為的起源ではないことを示していると考えられる。さらに、今回の流行では試料が採取されなかった時期があるため、近縁ではあるがこれまで発表されていなかったブタインフルエンザ単離株も今回の研究に取り込まれているという事実にもかかわらず、遺伝的な性質と位置が最も近いブタのウイルスからは、流行の直接の起源についてほとんど何も明らかになっていない。今回の結果は、ブタインフルエンザに関する体系的なサーベイランス実施の必要性を強調するとともに、ブタで新たな遺伝的要素の混合が起こると、ヒトで大流行を起こす可能性のあるウイルスが出現しうることを示す証拠となる。

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