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がん:エストロゲン受容体-PAX2によるERBB2遺伝子の制御がタモキシフェンに対する反応性を決定する

Nature 456, 7222 doi: 10.1038/nature07483

ずっと以前から、エストロゲン受容体(ER)経路とERBB2/HER-2経路とのクロストークは乳がんの病因や薬物に対する反応性に関係があると考えられてきたが、転写レベルでの直接的な関係は示されていなかった。本論文では、ヒトの細胞株で、エストロゲンとER、およびタモキシフェンとERが作る複合体が、ERBB2遺伝子内のシス調節エレメントを介して直接的にERBB2の転写を抑制することを示す。我々は、paired box 2遺伝子産物であるPAX2が、抗がん剤であるタモキシフェンが引き起こす、ERを介するERBB2遺伝子抑制の重要なメディエーターであるという、これまで知られていなかった役割をもつと考える。ERのコアクチベーターであるAIB-1/SRC-3とPAX2はERBB2遺伝子への結合や転写制調節について競合し、その結果、乳がん細胞のタモキシフェン反応性が決定されることがわかった。ER-PAX2によるERBB2遺伝子の抑制は、乳がん細胞のこれら2つのサブタイプを結びつけることになり、悪性度の高いERBB2陽性腫瘍はこの抑制機構の回避により、ER陽性の管腔上皮細胞由来(luminalタイプ)の腫瘍から生じる可能性が示唆される。これらの結果により、乳がんにおける内分泌治療抵抗性の分子基盤の機序についての手がかりが得られる。

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