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遺伝:肺腺がんでは体細胞変異が重要な経路に影響を及ぼしている

Nature 455, 7216 doi: 10.1038/nature07423

がんの遺伝的基盤を明らかにするには、組織病理学的によく分類された原発腫瘍からなる大規模検体群の包括的解析が必要である。本論文では、ヒト肺腺がんの188検体で体細胞変異を見つけ出すために行った共同研究の結果を報告する。がんとの関係が既知の、あるいはがんと関係する可能性がある623個の遺伝子のDNA塩基配列の解読から、これらの検体全体で1,000以上の体細胞変異が明らかになった。今回の解析から、有意の高頻度で変異が認められ、したがって、発がんに関与している可能性の高い遺伝子が26個見つかった。高頻度で変異が認められる遺伝子にはチロシンキナーゼがあり、その中にはEGFRのホモログであるERBB4、多数のエフリン受容体遺伝子(特にEPHA3)、血管内皮細胞増殖因子受容体KDR、およびNTRKなどが含まれる。これらのデータは、原発肺腺がんでは、他のがんに関与するいくつかの腫瘍抑制因子遺伝子(NF1APCRB1およびATMなど)の体細胞変異、PTPRDの塩基配列変化およびLRP1B遺伝子の高頻度の欠失が起こっていることを示す証拠が得られた。ここで観察された変異プロファイルは、臨床的特徴、喫煙状態およびDNA修復異常と相関する。これらの結果は、一塩基多型アレイや遺伝子発現アレイなどのデータと統合することでさらに補強される。我々の知見は、肺腺がんに関与する重要なシグナル伝達経路のいくつかをさらに明らかにし、治療の新しい分子標的を示唆するものである。

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