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生態:中立メタ群集モデルによってミシシッピ–ミズーリ流域の魚類多様性パターンを予測する

Nature 453, 7192 doi: 10.1038/nature06813

河川ネットワークは、動植物にとって、連結し階層性をもつ樹状の景観を特徴とする生態系の回廊(コリドー)だと見なされており、生物地理学の理論やマクロ生態学の法則を検証するためのまたとない課題や機会を提供してくれる。河川に生息する魚類の多様性にみられる局所スケールおよび流域スケールでの差異は、エネルギーの利用可能性、生息域の不均一性、スケール依存性の環境条件、および河水流出量の関数として解析されているが、系全体の多様性パターンを包括的にまとめて予測するモデルはまだ見つかっていない。今回我々は、適切な生息地収容力分布と分散カーネルを組み合わせた中立メタ群集モデルにより、ミシシッピ–ミズーリ河川系全体の魚類多様性パターンをよく記述できることを示す。河川ネットワーク構造は、魚類多様性の空間属性を特徴付ける上で有効な鋳型となる。分散行動の平均値と生息地収容力の推定値は平均流出水量から客観的に計算され、これにより、河川系における生物多様性の大規模空間パターンの信頼できる予測値が得られる。二次元の森林生態系と今回の樹状河川生態系で中立説が実証されたことから、さまざまな生態系群に中立メタ群集モデルが適用できることが示唆される。この枠組みによって、全球気候変動などの大規模な強制力から生物多様性パターンまでを、直接結びつけることができる。

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