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遺伝:ヨーロッパ人集団ではアフリカ人集団に比べて有害な遺伝的変異の割合が高い

Nature 451, 7181 doi: 10.1038/nature06611

ヒトの2倍体ゲノムあたりの有害な変異の数を定量することは、進化遺伝学、医科遺伝学のいずれにとっても極めて重要である。今回我々は、PCRに基づくエクソンの塩基配列再解読から得られた全ゲノム遺伝子多型データ、哺乳動物種の比較ゲノムデータ、およびタンパク質構造予測を組み合わせることによって、15人のアフリカ系アメリカ人(AA)と20人のヨーロッパ系アメリカ人(EA)が個々に有する機能的に重要な1塩基多型(SNP)の数を推定する。AAはEAに比べ、調査対象となった機能的SNPのすべてのカテゴリーにおいて塩基のヘテロ接合性が有意に高い。そうしたSNPには、アミノ酸置換を伴わないもの(同義)、アミノ酸置換を伴うもの(非同義)、「無害」と予測されるもの、「有害である可能性あり」と予測されるもの、「おそらく有害」と予測されるものが含まれる。この結果は、ヨーロッパ人集団に比べてアフリカ人集団では塩基の変異が全体的に高頻度にみられるというこれまでの研究と完全に一致する。対照的に、EAの個体はAAに比べて、同義SNPや非同義SNPを含む派生対立遺伝子や、「おそらく有害」なSNPを含む有害な対立遺伝子とホモ接合性となる遺伝子型が有意に多い。どちらかの集団にのみに認められるSNPに関しては、同義SNPの割合はAA標本(47.0%)に比べてEA標本(55.4%)で有意に高い(P<2.3×10−37)。「おそらく有害」なSNPでも、推測されたとおり同様な割合の差がみられる(EAが15.9%、AAが12.1%、P<3.3×10−11)。大規模なシミュレーションにより、ヨーロッパ人にのみ存在する有害な対立遺伝子の割合が高いのは、おそらくヨーロッパ人が出アフリカした時期に経験したボトルネック効果の影響であることが示される。

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