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医学:新興感染症における世界的傾向

Nature 451, 7181 doi: 10.1038/nature06536

新興感染症(EID)は、世界の経済と公衆衛生への大きな負担となる。その出現は主として、社会経済的、環境的および生態的要因によって推進されると考えられるが、これら要因の関連性を明確に解析して、世界全体にわたるEIDの時間・空間的発生パターンの解明を試みた比較研究はない。今回我々は、1940年から2004年の間に起きた335例のEID「発生(event)」(EIDの最初の発生)のデータベースを分析し、世界規模の非ランダムなパターンを明らかにする。監視報告に関するバイアス補正後のEID発生数は、時間と共に大幅に増加し、HIVの世界的大流行(1980年代)と時を同じくして発生数がピークとなる。EID発生数は、人獣共通感染病(EIDの60.3%)が最も多く、その大半(71.8%)は野生生物を起源とするもの(例えば重症急性呼吸器症候群ウイルスやエボラウイルス)であり、時間と共に大幅に増加する。EID発生の54.3%は細菌またはリケッチアによって引き起こされることがわかったが、これは我々のデータベースに多数の薬剤耐性菌が含まれていることを反映している。今回の結果は、EIDの発生原因は社会経済的、環境的、生態的要因と大きく相関していることを確証しており、新たなEIDが最も発生しそうな地域(新興感染症の「ホットスポット」)を見つけ出すための基盤となる。さらに、野生生物の人獣共通感染症と生物媒介性のEIDは、監視報告活動が少ない低緯度地域で発生するリスクがかなり高いことも明らかになった。科学的研究および監視活動の大部分は、次の重要なEIDが発生する可能性が最も低い国々に集中していることから、疾患の出現に対抗するためには世界の資源配分が現状では不備であると結論される。

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