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医学:マラリア感染者でみられる熱帯熱マラリア原虫の異なる生理的状態

Nature 450, 7172 doi: 10.1038/nature06311

マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の感染は、小児では軽度のインフルエンザ様症状から昏睡および死亡に至るまで、大きく異なる臨床症状を引き起こす。この多様性の遺伝的、分子的基盤は、大きな医学的かかわりがあるにもかかわらず、ほとんどわかっていない。in vitroでの遺伝子発現研究では、異なる原虫系統間での転写の差はほとんど認められていない。今回我々は、感染患者の血液標品から直接得た原虫のin vivo発現プロファイルの大規模研究について報告する。in vivo発現プロファイルでは、異なる3つの転写状態の存在がはっきりした。これらの状態の生物学的基盤は、酵母(Saccharomyces cerevisiae)の発現データの膨大な明細表と比較して解釈することができる。in vivoでの3つの状態はよく似ており、第一が解糖系代謝による活発な増殖、第二が代替炭素源の代謝を伴う飢餓応答、第三が環境ストレス応答である。解糖系代謝を行っている状態は、in vitroで知られている輪状体のプロファイルに極めてよく似ているが、その他の状態はin vitroでは観察されていない。今回の結果は、これまで不明であったマラリア原虫のin vivoにおける生物学的多様性を明らかにしており、特に無性生殖期の原虫での機能を備えたミトコンドリアの存在を立証し、この差異が疾患の症状および治療にどのように影響を与えるかを決定するためのin vivoおよびin vitro研究が必要であることを示している。

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