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CPI-17によるメルリンホスファターゼの抑制を介した腫瘍化

Nature 442, 7102 doi: 10.1038/nature04856

腫瘍抑制タンパク質メルリン(神経繊維腫症2型遺伝子NF2によってコードされる)は多くの細胞や組織の重要な増殖調節因子である。メルリンは、セリン518(S518)の脱リン酸化によって活性化されるが、これは血清除去や細胞-細胞間あるいは細胞-マトリックス間の接触によって起こる。しかしながら、メルリンの腫瘍抑制因子としての機能の活性化に関連するホスファターゼは知られていない。我々は、その酵素がミオシンホスファターゼ(MYPT-1-PP1δ)であることを同定した。細胞内のMYPT-1-PP1δ特異的阻害因子CPI-17は、メルリンのリン酸化、Rasの活性化および形質転換を特徴とする、メルリン機能の喪失を引き起こす。構成的に活性なメルリン(S518A)はCPI-17が誘導する形質転換を回復することから、メルリンが腫瘍抑制におけるMYPT-1-PP1δの決定的に重要な基質であることが示される。さらに我々は、ヒトのいくつかの腫瘍細胞系統においてCPI-17の発現量が上昇していること、そしてCPI-17の発現低下によってメルリンの脱リン酸化が誘導され、Rasの活性化が抑制され、また形質転換した表現型が認められなくなることを示す。MYPT-1-PP1δとその基質であるメルリンは、これまでには報告されていない腫瘍抑制因子カスケードの一部であり、NF2遺伝子の変異やがんタンパク質CPI-17の発現上昇という2つの方法によって阻害されうる。

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