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霊長類の発現プロファイルから明らかになるヒト転写因子の急速な進化

Nature 440, 7081 doi: 10.1038/nature04559

ヒトの適応の多くは遺伝子調節が変化して生じたとする仮説が30年にわたって提唱されてきたが、霊長類で遺伝子調節に作用する自然選択がどのようなものかについてはほとんど何もわかっていない。今回我々は、自然選択の下で発現が進化している遺伝子の一群を特定した。複数種を対象とする新しい相補的DNAアレイ技術を使い、ヒト、チンパンジー、オランウータン、アカゲザルの分類群内および分類群間で、肝組織の定常状態のメッセンジャーRNA量を比較した。そして、線形混合モデルから得た算定値を用いて、系統発生過程の全体(およそ7000万年間)を通じて発現量が一定のままであり、したがって安定化選択の下にあると思われる一群の遺伝子を見つけ出した。その主要な候補遺伝子の中には、肝臓がんでの発現量変化が既に明らかになっている5つの遺伝子が入っている。また、ヒト以外の霊長類では発現量が同程度だがヒト系統では発現量が大きく増大もしくは減少するという、方向性選択の作用を示すような特徴を備えた遺伝子もいくつか見つかった。ヒトで特異的に発現量が増大する遺伝子群の中には、転写因子がより多くみられるが、この現象は、チンパンジーで発現量が増大する遺伝子については当てはまらない。

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