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深海の塩分躍層の酸素-無酸素の移行域でみられる成層した原核生物ネットワーク

Nature 440, 7081 doi: 10.1038/nature04418

バノック海盆の化学組成は、かなり詳しく研究されている。最近我々は古細菌の新しい分類群(MSBLI)を含む特異な微生物個体群がNaClの豊富な超塩水に生息していることを示した。塩分濃度が高いと生物多様性が低下する傾向があるが、塩水が塩分の低い海水と接触する場合にしばしば自然に形成される塩分躍層に、電子供与体と電子受容体の入れかえなどの化学成分の勾配が生じ、この勾配によって微生物の多様性、活性、および生物地球化学的循環が増大する可能性がある。本論文では、バノック海盆の無酸素性の超塩水とその上の海水との間の水柱内部の深さ3.3 kmのところに、傾度の大きなNaClの勾配を伴う厚さ2.5 mの化学躍層が存在することを報告する。この化学躍層は、極めてバイオマスが豊かで活性の高い深海微生物群集の一部を支えている。この微生物群集では古細菌ではなく細菌のほうが優占しており、細菌の4つの大きな新しい分類群が含まれる。この化学躍層においては、上方の海水と下方の塩水と比べて非常に高い代謝活性が測定された。機能解析からは、この化学躍層でさまざまな生物過程が生じていると考えられる。系統発生的に新しいグループを含む多くの原核生物の分類群は、特定の塩分帯に限定されており、有機物の地質学的堆積物の形成に寄与できるほど十分なバイオマスをもつ、はっきりと成層した多様な深海生態系を全体として形成していた。

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