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捕食者の学習は低毒ガエルをモデルにした擬態に有利に働く

Nature 440, 7081 doi: 10.1038/nature04297

ベイツ型擬態は、捕食される側である擬態者が有毒なモデル(擬態対象生物)に自らを似せて、捕食者の目を欺こうとする擬態である。擬態者の数が増えると警告シグナルの意味が薄れてしまうので、擬態の有利性は頻度に依存すると考えられている。複数の有毒生物種を擬態に利用できる場合、ベイツ型擬態の多型が生じると予測される。すなわち、擬態者は複数の同所的モデルに適合するように多様化する。自然界にはベイツ型擬態が広くみられるにもかかわらず、ベイツ型擬態の多型は比較的まれである。今回我々は、ある毒ガエルの擬態複合種群を調べた。この複合種群は、2種の側所的モデルと、地理的二型性のある1種の擬態者からなり、2種のモデルが共存する場所では擬態者は単一型を示す。我々の行った毒性解析やフィールド観察、分光反射から、従来の予測に反して擬態者は、毒が弱く個体数の少ないほうのモデルに似ることが明らかになった。我々は、この反直観的な結果を説明する機構として「刺激般化」という概念を検証し、学習していない鳥類捕食者と生きた毒ガエルを使った学習実験を行った。その結果、モデルの毒の強弱によって捕食者の忌避の一般化には差があり、両者の忌避般化曲線が毒の弱いモデルにおいて重なるので、毒の弱いモデルに似た擬態者のほうが防御の度合いが高くなることがわかった。今回の研究から、毒の強弱に依存した刺激般化機構の存在が裏づけられ、複数のモデルが共存する場所でのベイツ型擬態にはもう1つの解があることを示唆している。

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