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医学:治療用抗体による西ナイルウイルス中和の構造的基盤

Nature 437, 7059 doi: 10.1038/nature03956

西ナイルウイルスは蚊が媒介するフラビウイルスであり、ヒトの伝染病を引き起こすデング熱ウイルス、黄熱病ウイルスおよび日本脳炎ウイルスと極めて近縁である。これらの正二十面体ウイルスが感染する際には、推定上の受容体結合ドメインIII(DIII)におけるエンベロープ糖タンパク質の再配置によってエンドソームの膜融合が触媒され、疎水的な融合ループが露出する。体液性免疫は西ナイルウイルス感染初期に重要な感染防御機能を持つ。今回我々は、DIIIに特異的に結合するE16モノクローナル抗体による中和の機構について調べた。構造上、E16抗体のFab断片はDIII の4つのループに位置する16残基と結合する。この中和エピトープのコンセンサス配列は西ナイルウイルスでは保存されているが、その他のフラビウイルスでは異なる。E16エピトープの成熟ウイルス粒子の表面からの突出状態は3通りあるが、ドッキング研究からはFabの結合が起こっても5回回転軸周囲にクラスターとなっているエピトープは露出したままとなると予測される。また、E16は主としてウイルス付着後の段階で、おそらく エンベロープ糖タンパク質のコンフォメーション変化の妨害によって感染を阻止することも示す。我々が得た結果を総合すると、ドミナントDIIIエピトープを標的としたワクチン戦略によってフラビウイルス病に対して安全かつ有効な免疫応答を導き出せる可能性が示唆される。

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