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医学:アンジオテンシン変換酵素2は重度の急性肺傷害を阻止する

Nature 436, 7047 doi: 10.1038/nature03712

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は最も重症型の急性肺傷害であり、重篤な臨床的症状と高い死亡率(30〜60%)を示す。ARDS発症の誘因は敗血症、誤嚥(胃酸の吸引)、肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因となるSARSコロナウイルスなど多岐にわたる。現在、ARDSの臨床予後を明らかに改善する薬剤は見出されていない。アンジオテンシン変換酵素(ACE)およびACE2は、レニン-アンジオテンシン系において異なる重要な機能を果たす相同タンパク質である。ACEはアンギジオテンシンIを切断してアンギジオテンシンIIを産生し、ACE2はアンジオテンシンIIを不活性化してこの系における負の調節因子として作用する。一方で、ACE2はSARSコロナウイルスの受容体の1つである可能性や、肺で発現されることが最近明らかにされた。今回我々は、ACE2およびアンジオテンシンIIの2型受容体(AT2)が酸の誤嚥および敗血症による重症急性肺傷害を阻止することを見い出した。これに対し、ACE、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIIの1a型受容体(AT1a)などのその他のレニン-アンジオテンシン系の構成分子は、肺浮腫や呼吸不全といった急性肺傷害の病態を増悪させる。さらに、Aceを欠失するマウスでは肺傷害の顕著な回復が見られ、組換えACE2タンパク質がマウスを重度の急性肺傷害から守れることを明らかにした。これらの結果は、急性肺傷害にACE2が重要な役割を担うことを明らかにしており、毎年世界中で数百万人もの人々を苦しめるARDSに対して可能と思われる治療法を示すものだ。

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