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医学:ヘモグロビンCをもつ赤血球上でのPfEMP-1の異常な呈示がマラリアに対する防御になる可能性

Nature 435, 7045 doi: 10.1038/nature03631

ヘモグロビンC は、β-グロビン鎖中のグルタミンがリシンに変わった変異をもち、西アフリカの子供たちがマラリア原虫Plasmodium falciparumによるマラリアにかかるのを防いでいる。しかしこの防御のしくみは、ヘテロ接合(ヘモグロビンAC)の場合についても、ホモ接合(ヘモグロビンCC)の場合についても解明されていない。本論文では、発症に関係するマラリア原虫感染赤血球の細胞表面の性質を、ヘモグロビンCが著しく変化させることを報告する。原虫が感染した正常な赤血球(ヘモグロビンAA)と比較すると、原虫が感染したヘモグロビンAC赤血球とCC赤血球は、CD36と細胞間接着分子-1(ICAM-1)を発現する内皮単層に接着しにくくなる。また、原虫感染AC赤血球とCC赤血球は、原虫に感染していない赤血球とのロゼット形成相互作用をうまく起こせなくなり、マラリアに対する免疫のある成体由来の貯蔵血清の存在下で凝集を起こしにくい。主要な可変性細胞接着リガンドであるPfEMP-1(マラリア原虫赤血球膜タンパク質-1)の細胞表面への呈示(ディスプレイ)の異常が、これらの知見と相関している。このPfEMP-1呈示異常は、赤血球の老化マーカーと関連があり、AC赤血球よりもCC赤血球の方が異常の程度が高い。ヘモグロビンCは、感染赤血球のPfEMP-1を介した接着を抑制して毛細血管への隔離を妨げることによって、マラリアに対する防御効果を示すのかもしれない。

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