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発生:マイクロ流体システムを用いて空間時間的に撹乱したショウジョウバエ胚におけるパターン形成ネットワークの動的変動

Nature 434, 7037 doi: 10.1038/nature03509

生化学的ネットワークは環境条件のゆらぎと遺伝学的な変動の両方によって撹乱される。これらの撹乱は、特に胚のパターン形成期においては補正されてなければならない。時間空間的な動的変動を示す複雑な化学反応ネットワークは、それらの環境条件を時間的空間的に撹乱することにより、制御され、また解明されてきた。本研究ではマイクロ流体システムを用いることにより、この方式を使ってキイロショウジョウバエDrosophila melanogasterのBicoidモルフォゲン勾配の変動を補正する堅牢なネットワークについて調べた。その結果、胚の前半部と後半部が異なる温度下におかれ、その結果異なる速度で発生が進むという極めて不自然な環境条件(温度差)による影響を、この補正系が相殺できることがわかった。胚のパターン形成はこの条件下でも正常に進行し、この補正機構は単純な逆方向勾配系ではないと思われる。時間特異的に温度差を反転させることにより、補正に重要な期間は胚発生開始後65〜100分の範囲に絞り込まれた。本研究で用いたマイクロ流体システム技術は、胚発生の時間空間的制御が可能なため、今後の研究に有用であると思われる。

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