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進化:野生鳥類個体群中での差異のある分散によって進化が推進される

Nature 433, 7021 doi: 10.1038/nature03051

進化論では、局所の個体群分岐は、選択のもつ多様化作用と遺伝子流動のもつ均一化作用とのバランスによって決まると考えられている。しかし、遺伝的多様性が空間変動という形で現れると、進化の過程で生ずる反応に差異が出てくるはずである。さらに、分散がランダムでないのなら、分散は実際には進化上の分化を妨げるよりむしろ増強する可能性がある。今回我々は、ひと続きの林地に生息するシジュウカラ(Parus major)の1個体群内で体重を36年間にわたって記録し、差異の進んだ結果を報告する。また、ヒナの体重の遺伝的ばらつきに空間的な変動があり、これが選択に対する反応の違いを生み出し、この多様化作用が非ランダムな分散によって増強されることを示す。多様性、選択、進化の各パターンと個体群の生態データを突き合わせることで、定住判断に影響を及ぼす生息域の質には密度と相関する差異があり、これによって小規模の分化が押し進められることが実証される。我々のデータは、遺伝子流動が均一でない場合には進化上の分化が速められることがあり、そしてこうした分化が意外に狭い空間規模で起こりうることを示している。今回の知見は、適応と種分化の規模に関する問題に大きなかかわりをもち、分散を進化上の分化を妨げる力とみなす従来の扱いに疑問を投げかけるものだ。

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