Letter

宇宙:初期の火星の酸性海洋における炭酸塩合成の抑制

Nature 431, 7007 doi: 10.1038/nature02911

最近、一連の証拠により、海洋が初期の火星に存在したという仮説が確かなものとなった。したがって、太古の火星大気からの二酸化炭素の海洋堆積作用で炭酸塩が形成されたと推測される。しかし火星表面の分光画像では、火星の塵に広く分布する少量の炭酸塩しか存在しないことが示されている。本論文では、溶液平衡計算を用いて、太古の火星の海洋における炭酸塩合成の可能性を検討する。我々は、海水中に13.5ミリモル濃度までの硫酸塩と0.8ミリモル濃度までの鉄が存在し、0.8〜4バールの範囲の大気中二酸化炭素分圧下で、pH6.2未満の酸性の海洋環境が生じることを示す。これにより、通常は沈澱する最も主要な炭酸塩鉱物と予想される菱鉄鉱の形成が不可能となる。初期の火星における、二酸化炭素が支配的な大気と硫酸塩および鉄を持続的に豊富に含む酸性海洋との広範囲な相互作用が、炭酸塩が存在しないことの妥当な説明であると結論される。

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