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細胞:サイクリン依存性キナーゼがSmadの増殖抑制機能を制御する

Nature 430, 6996 doi: 10.1038/nature02650

トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)は、G1期において細胞周期の進行を強く阻害する。Smad3はTGF-βの増殖抑制応答の仲介に重要な機能を持っている。本論文では、Smad3がG1サイクリン依存性キナーゼCDK4およびCDK2の主要な生理的基質であることを示す。網膜芽細胞腫タンパク質ファミリーを除けば、Smad3は現在明らかにされている唯一のCDK4の基質である。我々は、Smad3がCDK4およびCDK2によってリン酸化を受ける部位が、Thr8、Thr178およびSer212であることを突き止めた。CDKによるリン酸化を受ける部位に起こった突然変異は、Smad3の転写活性を増大させ、CDK阻害体であるp15の発現増大につながる。Smad3中のCDKによりリン酸化を受ける部位での突然変異では、c-myc発現抑制能力も増大する。我々はSmad3-/-のマウス胚繊維芽細胞や他の上皮細胞系列を用い、Smad3が細胞周期のG1期からS期への進行を阻害し、Smad3のCDKによるリン酸化を受ける部位に起こった突然変異によりこの阻害能が増大することも明らかにする。まとめると、今回の結果はCDKによるSmad3のリン酸化は、Smad3の転写活性と増殖抑制機能を阻害することを示している。癌細胞ではCDK活性が上昇していることが多いので、CDKによるリン酸化がSmad3活性を消失させることが、腫瘍発生や癌でみられるTGF-β抵抗性の原因となっている可能性がある。

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