Letter

生態:哺乳類を宿主とする腸内蠕虫どうしの競争と相利作用

Nature 428, 6985 doi: 10.1038/nature02490

大部分の動物種には複数種の寄生生物が感染しているが、寄生生物の種間相互作用が寄生生物動態にどう影響を及ぼし寄生生物群集を形づくるのにどんな役割を果たしているかはよくわかっていない。実験室での研究からは交差免疫や免疫抑制、競争の存在を示す証拠が見つかっているものの、野外で生活する宿主動物の解析からは、寄生生物群集はせいぜいランダムな群がりでしかないとする一般的結論が出されている。本論文では、自然条件下の哺乳類生体系には一貫して種間相互作用が存在することを示す証拠を提示する。この証拠は、放し飼いのアナウサギ(Oryctolagus cuniculus)の個体群から23年にわたり毎月試料を得て集めた寄生虫感染の強度データを解析して得られた。野生ウサギは複数種からなる腸内蠕虫群集の宿主であり、その腸内群集は他の経済的に重要な草食性家畜動物に見られる腸内寄生虫群集に相当する。これらの知見から、寄生虫間の相互作用は寄生生物群集の動態に大きな意味をもっている可能性が示唆される。こうした相互作用を考慮に入れなければ寄生虫対策プログラムは実効性が見込めないだろう。逆にこうした相互作用を十分に解明することで、現状よりも環境に優しい寄生虫対策法を開発するための土台が得られるかもしれない。

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