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遺伝:糸状菌アカパンカビのゲノム配列

Nature 422, 6934 doi: 10.1038/nature01554

アカパンカビの一種であるNeurospora crassaは、20世紀の遺伝学、生化学、分子生物学の歴史における重要な生物種である。本論文では、アカパンカビゲノムの精度の高い概要配列を報告する。約40 Mbのゲノムは、タンパク質をコードする10,000個の遺伝子を含む。これは、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeの2倍以上に相当し、ショウジョウバエDrosophila melanogasterより約25%少ないだけである。遺伝子セットの解析から、赤色光による反応に関わると考えられる遺伝子群や二次代謝に関わる遺伝子群が同定され、植物や動物と比較してCa2+シグナル伝達に重要な差が認められるなど、アカパンカビの生物学的性質の意外な側面がのぞき見られた。アカパンカビの持つゲノム防御機構は、repeat-induced point mutation(RIP)と呼ばれる菌類に特有の過程など、他のどんな真核生物よりも幅広いものである。ゲノム解析から、RIPがゲノム重複による新しい遺伝子の出現を大きく遅らせることで、近縁遺伝子群の占める割合が極めて低いゲノムを作り上げ、ゲノム進化に大きな影響を及ぼしてきたことも示唆される。

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