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生態:熱帯林では草食性昆虫の寄主植物特異性は低い

Nature 416, 6883 doi: 10.1038/416841a

熱帯の草食性昆虫ではスペシャリスト(食草が決まっている)とジェネラリスト(食草の範囲が広い)のどちらが多く存在しているかは、過去20年の研究でははっきりしていない。そのため、多様な熱帯雨林群集における種の共存状態の解明が遅れている。熱帯の昆虫の寄主特異性と種の豊富さは、生物多様性の全地球的なパターンを正確に描くためにも重要なパラメーターである。本論文では、ニューギニアの51種の植物を餌とする900種を超える草食性昆虫のデータを分析し、大部分の草食性昆虫は数種の近縁な植物を餌としていることを明らかにした。熱帯の植物相では種数の多い属が優占しているため、熱帯林では単食性の草食性昆虫はおそらくまれである。さらに寄主植物どうしが系統分類的に離れていても、そこにいる草食性昆虫の群集どうしは通常、全種の3分の1が共通していた。これらの結果からは、熱帯にみられる草食性昆虫の多種共存が、食物とする植物資源を細分化した結果だとする従来の見方は裏づけられない。熱帯地方の多様性に関しては、その説ではなく非均衡モデルの適用を検討すべきである。熱帯の草食性昆虫の寄主植物特異性が低いとなれば、全世界の節足動物の多様性の見積もりは、3100万種から400万〜600万種に減ることになる。この知見は系統分類学の採集標本に基づく見積もりと符合し、また、熱帯域生物群集の生態系標本に基づいた場合の全世界の多様性推定値と、地理区内昆虫相の標本抽出に基づいた場合の全世界の多様性推定値とが一桁違っていることとも矛盾しない。

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