注目の論文
細胞老化と加齢
Nature Cell Biology
2008年5月31日
Cellular senescence and ageing
細胞の分裂能と複製能に重要な影響を及ぼすマウスの2つの腫瘍抑制遺伝子は、加齢過程にもかかわっていることが知られている。今回、細胞の老化、つまり細胞複製の不可逆的停止と生物個体の加齢の間の直接的なつながりが初めて実証された。
細胞分裂タンパク質BubR1の発現レベルが低い変異体マウスでは、短寿命、筋肉萎縮や脂肪減少などの特徴をもつ早期老化が起こることが明らかにされている。影響が現れる組織のうちで、骨格筋と脂肪にはp16Ink4aとp19Arfというタンパク質が高濃度で集積する。J van Deursenたちはp16Ink4aとp19Arf遺伝子の加齢における役割を調べるために、BubR1欠失マウスでこれらの遺伝子を不活性化してその影響を検討した。p16Ink4aを除去すると細胞の老化とマウスの早期加齢の両方が軽減されたが、p19Arfの不活性化ではこうした影響が増大した。
p16Ink4aとp19Arfの発現は年齢とともに増大することから、これらの腫瘍抑制遺伝子は以前にも、加齢にかかわっているのではないかと疑われていた。しかし、これらの遺伝子を欠失したマウスは腫瘍が原因で若齢のうちに死亡してしまうことから、加齢過程への直接のかかわりは、まだ証明されていなかったのである。
doi: 10.1038/ncb1744
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月12日
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
8月8日
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
8月7日
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature
-
8月7日
生態学:タコの観察がソフトロボットの設計に新たな着想を与えるかもしれないNature