注目の論文

肺がんの生存率を予測する

Nature Medicine

2008年7月21日

Predicting lung cancer survival

肺がん患者の生存率の予測モデルを検証するために、これまでで最大規模の研究が行われた。肺がんに関する幅広い病理学的、臨床的アノテーション付きの現在入手できる最も数の多いマイクロアレイデータ群であり、またこの研究は、患者の予後予測モデルの臨床応用に向けた大きな節目になる可能性がある。

遺伝子発現の特徴的パターンから肺がん患者の生存率を予測することができるが、臨床応用するには、この予測がさまざまな患者集団や異なった研究室で広く成り立つことの確認が不可欠である。

D Beerたちは、442の肺がんを対象にして、遺伝子発現に基づいたいくつかの予後予測モデルの性能について、これまでで最も大規模で包括的な検証研究を行って、遺伝子発現の単独での検査、あるいはがんのステージ、患者の年齢、性別といった臨床的要素と組み合わせて用いて、肺がん患者の予後予測に利用できるかどうかを検証した。

彼らが調べた予後予測モデルのいくつかでは、算出したリスクの数値と実際の患者の生存率とにかなりの相関関係がみられた。ほとんどのモデルは臨床データと組み合わせたほうが成績が良く、初期の肺がんの予後予測モデルをつくる際には、臨床情報と分子情報を組み合わせるほうがよいことが裏付けられた。

doi: 10.1038/nm.1790

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