注目の論文
神経変性におけるDNA修復
Nature Neuroscience
2013年7月15日
DNA repair in neurodegeneration
アルツハイマー病やALSのような神経変性のモデルマウスにおける不安定なゲノムは、サーチュイン1(SIRT1)という損傷DNAを修復する酵素を活性化すると修復できる場合があるとの報告が、今週オンラン版に掲載される。この研究は、神経変性疾患に伴う細胞の損傷を軽減しうる治療薬として、SIRT1を活性化する薬剤が利用できる可能性を示している。
人体のほかの細胞とは異なり、哺乳類成体の脳にあるニューロンはもはや分裂しない。したがって、DNA損傷やそれに伴うゲノムの不安定性はニューロンにとってとくに問題となる。なぜなら、そのような欠陥を既存のDNAの複製をつくって修復するわけにいかないからである。その上、DNA鎖の物理的切断は、加齢およびアルツハイマー病やルー・ゲーリック病のような神経変性状態における認知面での衰退に関連している。
サーチュインは細胞死から脳を保護するとされている酵素であることに基づき、Li-Huei Tsaiたちは、これらの作用の分子機構を調べた。著者らは、SIRT1なしではニューロンが毒性物質によるDNA損傷を修復できないことを発見した。また、SIRT1の作用は、DNAを凝縮した形態に詰め込む過程にかかわる別の酵素による調節を受けていることも示した。この研究ではまた、神経変性とアルツハイマー病のモデルマウスに対しSIRT1活性化剤を施したところ、DNA損傷からニューロンを保護できることも示されている。
doi: 10.1038/nn.3460
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