注目の論文
マウス脊髄の再生を促進
Nature Neuroscience
2010年8月9日
Boosting regeneration in the mouse spinal cord
哺乳動物の成体では未熟な神経線維の成長を止めるブレーキがあるが、損傷した神経細胞にある特定の酵素を遺伝子工学技術で阻害したり欠失したりすると、このブレーキを解除できる。Nature Neuroscience(電子版)に掲載される研究は、脊髄損傷の治療にこの酵素を標的にすると有効かもしれないと示唆している。
Z Heらは、脊髄損傷のモデルマウスを調べ、皮質脊髄路にある傷ついた成体ニューロンでは、成長促進に関与する酵素mTORの活性が大きく低下していることを見いだした。mTORの調節因子である酵素PTENを遺伝子工学により阻害してmTORの活性を高めると、残った無傷の神経線維からの出芽が増えるとともに、損傷した神経線維自体が再生し損傷部の下流にある神経細胞と再結合する能力が高まった。
再生したこれらの神経線維の新たな結合が、機能回復や運動性の改善と解釈してよいかどうかは検討されていないので、この発見がヒトにも実際に適用できるかはまだわからない。しかしこの研究は、成体の神経系においてmTOR活性を抑える調節機構を標的とした薬剤が脊髄損傷の治療に有効かもしれないことを示唆している。
doi: 10.1038/nn.2603
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