注目の論文
損傷を受けた脳の描き直し
Nature Neuroscience
2009年12月14日
Rewiring the brain after injury
脊髄損傷を受けたラットの脳では、さまざまな体の部位からくる感覚情報の地図が描き直される。Nature Neuroscience(電子版)に発表される研究は、げっ歯類の脊髄損傷モデルにおけるこれまでの矛盾を解決するものである。
脳と四肢を結ぶ神経が脊髄損傷によって切断されると、残ったニューロンが新たな結合を作ることがある。A Ghoshらはラットの皮質脊髄ニューロン(脳と脊髄を結ぶニューロン)の地図を精密に描き、これらニューロンの発する皮質領を観察した。脊髄損傷により後肢の機能が損なわれたラットでは、後肢に残った皮質脊髄ニューロンが、前肢の回路網にかかわる脳領域に都合よく組み込まれることがわかり、これと同時に脳の前肢領域では感覚表現の増大も起こる。これは、脊髄でみられる解剖学的再編成と皮質で生じた変化が機能的に結びついた結果である。
この解剖学的再編成の理由は不明だが、もう入力を受けていない脳領域はむだになるのではなく、損傷のない肢から代償として増大した情報を処理するため配線し直されることが示唆される。
doi: 10.1038/nn.2448
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