注目の論文
肺炎の新しいモデル
Nature Medicine
2010年9月20日
A new model for pneumonia
心臓細胞のミトコンドリア膜の重要な成分であるカルジオリピン(ジホスファチジルグリセロール)が、肺炎のマウスモデルで果たす役割の報告が寄せられている。今回の知見によって、カルジオリピンの量やヒトの肺炎との分子レベルでのかかわりを変化させる、新しい治療法に道が開ける可能性がある。
肺炎は感染症による死亡の主な原因の1つだが、細菌性肺炎が肺に感染して長期にわたって損傷を与える仕組みはよくわかっていない。R Mallampalliたちは、肺炎患者ではカルジオリピンレベルが上昇していることを発見した。これが肺の損傷につながっている可能性がある。
リン脂質輸送体ATP8b1がカルジオリピンに結合し、これを細胞内に引き込むことが明らかになった。カルジオリピンの取り込みができない変異型ATP8b1をもつマウスでは、肺炎患者と同様に、肺液のカルジオリピン濃度が上昇した。このATP8b1変異マウスは細菌性肺炎を起こしやすいことから、肺炎の新しい概念モデルになると考えられ、カルジオリピンが肺炎に果たす役割が明らかになった。
doi: 10.1038/nm.2213
注目の論文
-
4月19日
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
4月18日
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
4月18日
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
4月17日
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
4月16日
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change
-
4月16日
医学研究:一部の患者では、抗体がパーキンソン病の運動機能症状の進行を遅らせる可能性があるNature Medicine