注目の論文
飲酒者の発がんリスクに影響する遺伝子多型
Nature Genetics
2008年5月26日
Genetic variants affect cancer risk in alcohol drinkers
複数の遺伝子に関して、飲酒者が各種のがんを発症するリスクを下げる多型が同定された。これらの遺伝子には、アルコールを代謝する酵素がコードされており、口腔がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がんを発症しにくくなるのである。この成果を報告する論文はNature Genetics(電子版)に掲載される。
飲酒は、上部気道消化管がんの危険因子で、アルコールを代謝する酵素であるアルコール脱水素酵素(ADH)の多型性ががん感受性に影響する、という考え方を支持する証拠も発表されている。
国際がん研究機関(フランス・リヨン)のP Brennanらは、3,800人以上の気道消化器癌患者と5,200人以上からなる対照群について、6種類のADH多型の型判定を行った。その結果、ADH1B遺伝子とADH7遺伝子のそれぞれ1つの多型が、気道消化器がんに対する防御力が有意に高く、この傾向は特に飲酒者の場合に顕著で、アルコール摂取量の多い者で非常に顕著にみられた。このような防御力をもつADH1B遺伝子の多型をもつ人は、もたない人の最大100倍の速さでアルコールを代謝することが知られている。このことからは、アルコール摂取量が少ない方が、気道消化器がんに対する防御力が高まることが示唆される。
doi: 10.1038/ng.151
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