注目の論文
メラノーマ患者に高頻度なERBB4遺伝子の変異
Nature Genetics
2009年8月31日
Frequent ERBB4 mutations in melanoma
転移メラノーマ患者の19%にERBB4遺伝子の変異がみられたことを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。メラノーマは、皮膚がんの一種で、致死率が高い。早期メラノーマは外科手術によって治癒することが多いが、転移メラノーマは治療が難しく、ほとんどのケースで患者は命を失う。
がんの場合には、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)遺伝子が高頻度に変異していることから、米国立衛生研究所(メリーランド州ベセズダ)のY Samuelsらは、29のメラノーマ試料で86個のPTK遺伝子の配列解読を行い、86個中19個のPTK遺伝子に30種の腫瘍特異的な変異を発見した。また、別の79のメラノーマ腫瘍について行われた塩基配列解読では、99種のがん特異的な変異が見つかり、その19%が、PTK遺伝子の1つであるERBB4遺伝子に生じた変異だった。
さらに、ERBB4遺伝子を変異させる実験では、メラノーマ細胞の増殖が促進され、メラノーマ細胞に阻害薬ラパチニブを加える実験では、メラノーマ細胞の増殖は抑制された。今回の研究は、ERBB4遺伝子に変異のあるメラノーマ患者に対する治療法として、小分子阻害薬を用いてERBB4遺伝子を選択的に阻害する方法を調べる必要性を示唆している。
doi: 10.1038/ng.438
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