注目の論文
肥満に通じる扉を閉める
Nature Medicine
2009年3月16日
Shutting the door on obesity
マウスの腸で脂質代謝を行う酵素をノックダウンすると肥満が防げるという報告が寄せられている。この知見は、この酵素が肥満を減少させる新しい治療標的になる可能性を示している。
ヒトは、効率よく食物中の脂肪を吸収し、エネルギー貯蔵のために脂肪組織へと取り込む。この能力はカロリー欠乏のときには有利だが、食餌中の脂肪が多いときには肥満の一因となる。R Farese, Jr.たちは、脂肪の蓄積に腸の酵素MGAT2が不可欠なことをマウスで明らかにした。
マウスに高脂肪食を与えても、MGAT2をもたない場合には、肥満や高コレステロール、脂肪肝にはならない。MGAT2欠損マウスでも食物摂取、脂肪の吸収は正常だが、血液中に取り込まれる食物脂肪の量が減少し、脂肪の配分が脂肪組織での貯蔵よりもエネルギーの浪費の方に傾く。
MGAT2は腸の酵素で、原理的には薬物が近づきやすく阻害が容易であり、今回の結果により、肥満を防ぐ新しい治療標的になることが示された。
doi: 10.1038/nm.1937
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