【神経科学】脳の大きさは体の大きさと無関係に調節されている
Nature Communications
2012年9月26日
Neuroscience: Brain size goes independent
マウスのさまざまな脳領域の大きさは、それぞれが他の領域に依存することなく、独自に調節されており、体の大きさとも無関係に調節されていることがわかった。この新知見は、個々の脳領域の自由な進化が、発生上の制約によって妨げられているのかどうかという論争に一石を投じている。この結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
哺乳類全体で、脳の発生が類似した経路によって調節されていることが知られており、このことは、それぞれの脳領域の比率に関するマスタープランが存在していることを示唆している。ところが、さまざまな脳領域の大きさに種間のばらつきがあることを示す証拠が存在している。今回、R Hagerたちは、10,000匹以上の近交系マウスに関する遺伝的解析を15年間にわたって行った。その結果、7つの脳領域の大きさを調節する遺伝的座位を同定した。そのうちの一つは、2つの脳領域を調節していたが、それ以外は、同定された座位によって、1つの脳領域のみが調節されていた。また、Hagerたちは、脳全体の大きさに影響する3つの座位の組合せを同定した。以上の新知見は、脳の小進化が脳の総容積とは切り離されている可能性を示唆している。さらに、Hagerたちは、体の大きさに影響するが脳の大きさに影響しない遺伝的座位についても報告しており、脳全体の大きさと体の大きさとの相関が非常に低いことを明らかにした。
今回の研究で報告された遺伝的座位は、脳の進化論にとっての新たな重要情報だが、この座位内の遺伝子の同定には至っておらず、その機能の特徴も解明されていない。また、人為的に作製したマウス系統を用いた研究であるため、今回得られた結論をヒト集団に類推できるかどうかの検証は今後の研究課題となる。
doi: 10.1038/ncomms2086
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