注目の論文
【疫学】ウシ結核の正確な診断を妨げる寄生虫
Nature Communications
2012年5月23日
Epidemiology: Bovine tuberculosis undercover
広範囲に生息する家畜寄生虫に感染したウシに対して、一般的に用いられるウシ結核(BTB)の診断検査を行うと、ウシ結核を正しく検出できない場合のあることが明らかになった。この新知見は、ウシ結核に感染したウシを正確に診断できない可能性があり、このことが、現在の英国でのウシ結核根絶プログラムが功を奏していないことの一因なのかもしれないことを示唆している。この研究成果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
ウシ結核は、欧州連合のかなり多くの国々、オーストラリアと北米で根絶されたが、英国、アイルランドとニュージーランドでは今でも流行している。英国では、ウシ結核を制圧するため、生きたウシに対して結核の検査が行われ、陽性反応の出たウシは直ちに処分される。今回、D Williamsたちは、ありふれた家畜寄生虫である肝蛭(Fasciola hepatica)に感染したウシが、一般的に用いられる免疫検査によるウシ結核の診断の妨げになることを明らかにした。Williamsたちは、疫学データと地理データを用いて、英国内の肝蛭が広範囲に生息する地域でウシ結核の診断件数が少ないことを発見した。そして、こうした地域に肝蛭が生息していないという仮定の下で計算した場合には、ウシ結核の診断件数が現在より約33%増加した。
今回の研究で得られた知見は、現在実施中のウシ結核根絶プログラムに重要な影響を与えるかもしれない。
doi: 10.1038/ncomms1840
注目の論文
-
10月10日
動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中Scientific Reports
-
10月8日
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
10月3日
動物の行動:ネグレクトされた子犬は成犬になるとより攻撃的で恐怖心が強くなるScientific Reports
-
10月2日
遺伝学:自閉スペクトラム症の遺伝的に異なる形態Nature
-
10月1日
考古学:岩絵は古代アラビア砂漠で繁栄する人類を描いているNature Communications
-
10月1日
発生生物学:ヒトの皮膚細胞から機能的な卵子を作製Nature Communications