考古学:新石器時代の食生活に関する識見を深める
Nature Communications
2022年9月7日
Archaeology: Dishing up insights into Neolithic diets
新石器時代の紀元前3600~3300年に英国スコットランドのアウターヘブリディーズのコミュニティーで小麦が消費されていた可能性があることが、この地域で出土した土器の残骸によって示されたという見解を示す論文が、Nature Communications に掲載される。この知見は、小麦を乳製品と一緒に調理して、乳を使った薄い粥やポリッジが作られていた可能性があることを示している。
栽培化された植物や家畜化された動物が初めて消費されたのは、紀元前4000年頃の英国とアイルランドだった。英国とアイルランドの全土で見つかっている植物考古学的遺物からは、穀物が消費されていたことが示唆されているが、さまざまな食の伝統があったため、穀物の重要性には地域差があった可能性がある。植物考古学的証拠があるにもかかわらず、新石器時代の土器から穀物を加工していた痕跡を見つけ出すことは困難な課題だった。
今回、Simon Hammannたちは、アウターヘブリディーズにある新石器時代の4つの湖上住居(人工島/半人工島)から回収した土器を分析した。Hammannたちは、今回の分析のためにさまざまな土器の破片(壊れた土器素材)を59個選び出した。これらの土器には、ヘブリディーズの伝統的な壺形土器(baggy jar)の畝模様のあるタイプとないタイプ、Unstan式の椀形土器(溝模様のある浅い椀)と段付きの椀形土器が含まれている。そして、ガスクロマトグラフィーと高分解能質量分析を用いて、これらの土器遺物に含まれていた有機物残渣の分析が行われ、穀類の分子バイオマーカーが検出された。この結果は、これらの土器を用いて小麦や他の食品が調理されていたことを示している。Hammannたちは、新石器時代のこの地域の食事には、以前に考えられていたよりも多くの小麦が使われていた可能性があり、乳製品と一緒に調理して、おそらく乳を使った薄い粥やポリッジの一種が作られていた可能性のあることが以上の結果から明らかになったという見解を示している。さらにHammannたちは、土器の大きさとその使用方法との間に強い関連性があり、乳製品に関連した口の狭い土器があったことを指摘している。
Hammannたちは、今回の研究に基づいて、新石器時代のアウターヘブリディーズのコミュニティーにおける食事において、小麦が、以前考えられていたよりも大きな役割を果たしていた可能性があり、この発見は、アウターヘブリディーズの初期の農耕コミュニティーでの生活を解明する上で役立っているという考えを示している。
doi: 10.1038/s41467-022-32286-0
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