注目の論文

動物学:外洋性のサメとエイは70%以上減ってしまった

Nature

2021年1月28日

Zoology: Oceanic sharks and rays have declined by over 70%

世界の外洋性のサメとエイの個体数が、1970年以降に71%減少したことを報告する論文が、Nature に掲載される。今回の研究では、これらの海洋生物種の4分の3以上が現在、絶滅の危機に瀕していることも明らかになった。

海洋生物種の絶滅リスクの主たる原因は乱獲だが、個々の生物種について個体数減少を測定することは困難だった。これまでに、世界のさまざまな地域で外洋性や沿岸性のサメとエイの個体数が減少していることが報告されているが、全球的な分析は行われていない。

今回、Nathan Pacoureauたちは、外洋性のサメ類・エイ類18種の1970~2018年の相対的個体数を推定し、外洋性サメ類・エイ類31種に関して絶滅リスクを評価した。その結果、全世界で外洋性のサメとエイの個体数が1970年から2018年にかけて71.1%減少したことが明らかになった。外洋性サメ・エイ類31種のうち、24種が現在絶滅の危機に瀕しており、3種のサメ類[ヨゴレ(Carcharhinus longimanus)、アカシュモクザメ(Sphyrna lewini)、ヒラシュモクザメ(Sphyrna mokarran)]の個体数が急速に減少していて、これら3種は現在、国際自然保護連合(IUCN)が作成するリストの中で絶滅の恐れが最も大きい「絶滅危惧IA類」に分類されている。

このような減少の原因として、Pacoureauたちは、1970~2018年に相対漁獲圧[捕獲された生物種(この場合はサメ類とエイ類)の数が、その種の世界全体の総個体数に占める割合を示す尺度]が18倍高くなったことを挙げている。Pacoureauたちは、こうした生物種集団の崩壊を防ぐための行動が早急に必要だと主張し、具体的には、種の回復を促進するために漁獲制限を実施するよう各国政府に呼び掛けている。

doi: 10.1038/s41586-020-03173-9

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