注目の論文
現生種の中に残るクマ絶滅種のDNA
Nature Ecology & Evolution
2018年8月28日
Extinct DNA bears up in modern species
ホラアナグマは2万5000年前に絶滅したが、そのDNAが今もヒグマの中で生き続けていることを明らかにした論文が、今週掲載される。
Axel Barlowたちは、7万1000~3万4000年前に生きていたホラアナグマ4頭のゲノム塩基配列を調べた。そして、それを古代および現代のヒグマの他、アメリカグマ、ツキノワグマ、メガネグマ、パンダ、ホッキョクグマのDNAおよびゲノム塩基配列と比較した。これらのうちホッキョクグマは、過去にヒグマとの交雑が認められている。
Barlowたちは、塩基配列を解読した全てのヒグマのゲノムに0.9~2.4%の割合でホラアナグマDNAの寄与があること、また同様に、ホラアナグマにも、比率は低いがヒグマのDNAが含まれることを明らかにした。このことからBarlowたちは、ヒグマとホラアナグマは、ホラアナグマが絶滅する前に交雑したはずであると結論付けている。DNAをさらに解析すると、両種の間に遺伝子流動があったことが明らかになった。
現代の非アフリカ人がネアンデルタール人やデニソワ人などの絶滅した古代ヒト族集団と共通のDNAを少量有していることは知られていたが、氷河時代の絶滅種のDNAがヒト系統以外の現生個体群に見いだされたのは、今回が初めてである。
doi: 10.1038/s41559-018-0654-8
注目の論文
-
6月25日
ゲノミクス:古代 DNA がカルパチア盆地の多様なコミュニティー組織を明らかにするNature Communications
-
6月24日
化学:細菌がプラスチック廃棄物を鎮痛剤に変換Nature Chemistry
-
6月19日
人類の進化:アフリカからの移動に先立つ、人間の生息域の大幅な拡大Nature
-
6月19日
気候変動:気候変動が作物生産に与える影響を評価するNature
-
6月19日
動物行動学:蛾の航行は星空に導かれているNature
-
6月17日
都市:人工光が都市部の生育期を延長させているNature Cities